幕開けからいきなり、ウォルターズらしさ全開の舞台設定。
最初に提示された謎の答えが終盤までほとんど解読不能なのも、
これまたウォルターズお得意の手法である。
老女が死んだ。それも異様な状況で、自・他殺の判断さえ難しい。
生前の彼女を調べてみても、偏った人物像が浮かび上がるばかり・・・。
タイトルについては、枷、というよりは『鉄の轡(くつわ)』。
ひとつ疑問なのが、最後の最後、最終ページの日記・・。
果たしてこれは、必要なのだろうか・・・?
しかし、そんなところもウォルターズの味といえるのかも知れない。
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鉄の枷 (創元推理文庫 M ウ 9-3) 文庫 – 2002/12/1
資産家の老婦人は血で濁った浴槽の中で死んでいた。睡眠薬を服用した上で手首を切るというのは、よくある自殺の手段である。だが、現場の異様な光景がその解釈に疑問を投げかけていた。野菊や刺草で飾られた禍々しい中世の拘束具が、死者の頭に被せられていたのだ。これは何を意味するのか? CWAゴールドダガー賞受賞作。
- 本の長さ535ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日2002/12/1
- ISBN-10448818703X
- ISBN-13978-4488187033
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2002/12/1)
- 発売日 : 2002/12/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 535ページ
- ISBN-10 : 448818703X
- ISBN-13 : 978-4488187033
- Amazon 売れ筋ランキング: - 818,798位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2009年2月19日に日本でレビュー済み
女彫刻家に何気なく出会って、本作。
ようやく分かりました。
私にはミネット・ウォルターズが合わないようです。
どこが面白いのか、ほとんど分からないままで終わった。
多分面白いのだと思うけれど、私には彼女のよさがいまいち分からない。
設定など、面白いと思うんですけど、
ダンナは芸術家かもしれないが、嫌いなタイプだし、
そんなダンナとさっさと別れるのかと思えば、そうでもない。
優柔不断と言うわけでもないかもしれないし、
その辺がどうしても受け入れられないというか。
合わなかったことが残念でなりません。
(欲しい靴があって、サイズが合わない…みたいな気持ちです)
ようやく分かりました。
私にはミネット・ウォルターズが合わないようです。
どこが面白いのか、ほとんど分からないままで終わった。
多分面白いのだと思うけれど、私には彼女のよさがいまいち分からない。
設定など、面白いと思うんですけど、
ダンナは芸術家かもしれないが、嫌いなタイプだし、
そんなダンナとさっさと別れるのかと思えば、そうでもない。
優柔不断と言うわけでもないかもしれないし、
その辺がどうしても受け入れられないというか。
合わなかったことが残念でなりません。
(欲しい靴があって、サイズが合わない…みたいな気持ちです)
2020年3月22日に日本でレビュー済み
次々に人が死んでいくような小説と比較すると実に地味で、放っておけばそのまま忘れ去られてしまうような出来事について人々をネタに書かれたこの分厚い本にすっかり引き込まれてしまい、駅を降り損なうほど。それはひとえに作者の筆力だと思います。
2017年1月31日に日本でレビュー済み
中世の拷問具を嵌めた死体の老女が見つかり・・・というお話。
自殺か他殺か判らずにその判定を巡る展開の推理小説は既に色々ありますし、本書もそういうタイプの類型的作品と似てはいますが、この著者の独自性が作品の隅々に感じられてその辺はやはり進化したミステリだと思われます。
まず、老人に纏わる様々な問題が小説の端々に見られ、その辺は現代の国や地域や時代を超えた社会性があり、読ませます。
次に、遺産相続の問題もいつの時代いつの社会でも問題になる火種になりやすい問題でそこに現代の遺産相続のあり方が感じられて読者に考えさせます。
それと、現代の性暴力の問題も特に現代に顕著になったきた社会問題として国や地域を超えて我々一人ひとりが考えなければならない問題として見過ごせないトピックスとして様々な解釈が成り立つと思います。
推理小説としてもプロットが二転三転して最後まで飽きずに読めました。最後の解決だけ些か軽い様な感じがしないではないですが・・・というのは個人的な感想なので人によっては十分カタルシスを感じるかもしれませんが。
現代UKミステリを牽引している作家の力作。機会があったら是非。
自殺か他殺か判らずにその判定を巡る展開の推理小説は既に色々ありますし、本書もそういうタイプの類型的作品と似てはいますが、この著者の独自性が作品の隅々に感じられてその辺はやはり進化したミステリだと思われます。
まず、老人に纏わる様々な問題が小説の端々に見られ、その辺は現代の国や地域や時代を超えた社会性があり、読ませます。
次に、遺産相続の問題もいつの時代いつの社会でも問題になる火種になりやすい問題でそこに現代の遺産相続のあり方が感じられて読者に考えさせます。
それと、現代の性暴力の問題も特に現代に顕著になったきた社会問題として国や地域を超えて我々一人ひとりが考えなければならない問題として見過ごせないトピックスとして様々な解釈が成り立つと思います。
推理小説としてもプロットが二転三転して最後まで飽きずに読めました。最後の解決だけ些か軽い様な感じがしないではないですが・・・というのは個人的な感想なので人によっては十分カタルシスを感じるかもしれませんが。
現代UKミステリを牽引している作家の力作。機会があったら是非。
2005年2月4日に日本でレビュー済み
凄く面白かった。
ウォルターズのキャラクタは皆、とても印象深い、味わい甲斐のあるものばかりだが、今回は特にセアラとジャックの二人が抜群に良かった。ロマンスとして読むことも出来てしまう。複雑で単純な二人の矛盾する関係が生臭い本来のストーリーに爽やかさを与えていて、ウォルターズは本当に読みやすい小説家だなぁと感じながら一気読みでした。
最後のページは確かに蛇足というか嫌悪感を再起するだけって感じがしなくも無いけれど、明かされない全貌、というのはウォルターズの十八番。非情に面白かったです。
ウォルターズのキャラクタは皆、とても印象深い、味わい甲斐のあるものばかりだが、今回は特にセアラとジャックの二人が抜群に良かった。ロマンスとして読むことも出来てしまう。複雑で単純な二人の矛盾する関係が生臭い本来のストーリーに爽やかさを与えていて、ウォルターズは本当に読みやすい小説家だなぁと感じながら一気読みでした。
最後のページは確かに蛇足というか嫌悪感を再起するだけって感じがしなくも無いけれど、明かされない全貌、というのはウォルターズの十八番。非情に面白かったです。
2005年9月16日に日本でレビュー済み
誰からも嫌な女と煙たがられた老婦人マチルダがある晩自宅の風呂で遺体で発見された。当初は自殺と見られていたが、やがてそれは他殺であることが判明。莫大な遺産は一人娘と孫娘が手にするものと思いきや、生前親交のあった女医セアラに贈るとの遺言が・・・ 不可思議な殺され方、犯人は誰なのか、そして動機は?ミステリーらしいミステリーなのだが、とにかくセアラをはじめその夫ジャック、そしてクーパー警部やその上司のチャーリーいずれ劣らぬ魅力的なキャラクターが物語をとても味わい深いものしている。セアラ夫婦や警部たちの会話がなんともウィットに富んでいて楽しめる。最後の最後にちょっと腑に落ちないというかざらついた感じが残ります・・・
2003年6月12日に日本でレビュー済み
古典的風格と緊密な骨格を備えた推理小説にして、英国風の重厚と軽妙に彩られた家庭小説の傑作。大村美根子さんが「解説」で、「一人の死者を理解させようと作家が努めている小説」と書いている。見事な評言で、実際、物語は、中世の拘束具を被り息絶えた老婦人の「偉大なる個性」や「巨大な自我」をめぐって展開する。モデルの人格的本質を色彩で抽象的に表現する売れない画家のジャックが妻のセアラに、「きみはいつになったら目を開くんだ? 目を開いて人を立体的に見るようになるんだ?」と語っているように、この作品は、ギリシャ悲劇と現代のスキャンダルとの中間に位置づけられる性格のドラマである。だが、ミステリーというジャンルがもつ本質的な欠陥、つまり、すべての謎と秘密が明らかになったときのあの白々しさが、唯一の疵となる。「正しい問いを持つのは、正しい答えを得るよりむずかしいんだ」。セアラにほのかな恋心を寄せるクーパー部長刑事(もう一人の探偵役)の上司が吐くこの名言が心に残る。
2002年1月19日に日本でレビュー済み
殺されたのは主人公を除く村人の誰からも嫌われていた老女。自殺とも思われるが、口をそろえて「自殺するほど弱くはない」といわれる。
だんだん読み進めるうちにはまってきます。主人公を含め、性格が二重構造になっているようで、どの性格が本当なのか不思議になります。主人公の旦那さんも、最初はどうしようもない人と思われましたが、実際は…。周囲がみている「自分」と自分が思っている「自分」との間のギャップを考えさせられる話でした。
だんだん読み進めるうちにはまってきます。主人公を含め、性格が二重構造になっているようで、どの性格が本当なのか不思議になります。主人公の旦那さんも、最初はどうしようもない人と思われましたが、実際は…。周囲がみている「自分」と自分が思っている「自分」との間のギャップを考えさせられる話でした。